2024 年 65 巻 1 号 p. 59-71
本研究は,火成岩の観察における双眼実体顕微鏡と偏光顕微鏡の使用が,生徒にどのような影響を与えるのか評価することを目的とした。本研究では,中学生219人を対象とした授業実践の結果から,以下の3点が明らかになった。1点目は,「興味・関心」に与える影響である。双眼実体顕微鏡観察と偏光顕微鏡観察を比較すると,火成岩の顕微鏡観察における興味・関心は同程度であることが明らかとなった。2点目は,「肉眼観察と顕微鏡観察の関連」に対する生徒の意識である。本授業実践においては,どちらの顕微鏡を使用しても,肉眼観察で得られない情報を得られたと感じていた。3点目は,「肉眼観察における理解度」への影響である。授業実践の結果から,偏光顕微鏡よりも双眼実体顕微鏡を利用した方が,火山岩と深成岩の分類において組織に着目する傾向が高かった。