本研究では,小学校理科授業において,合意点を見つける力(科学的根拠に基づいたグループの構成員全員の納得解を見つける力)を児童に獲得させるための指導法の考案,及び効果検証を行うことを目的とした。この目的を達成するために,アーギュメント構造に基づいてグループの考察を決定する話合いに,ファシリテーターを導入する指導法を考案した。また,合意形成の必然性を生起させるために,好光性種子であるレタスの種子(フリンジーグリーン)を教材として選定することにした。考案した指導法の効果を検証するため,小学校5年生58名を対象に授業を行った。質問紙と評価問題による分析の結果,合意点を見つける力を育成するためには,教材選定の工夫によって合意形成の必然性を生起させるだけではなく,考案した指導法を通して,科学的根拠に基づいた納得解を見出す話合いを促進することの必要性が示唆された。