2024 年 65 巻 1 号 p. 3-19
本研究は学習としての評価論(Assessment as Learning)に基づく授業を通して,児童の科学観(実証性・再現性・客観性)がどのように変容するのか明らかにすることを目的とした。研究の目的を達成するために,アクション・リサーチの手法を用いて,各フェーズにおける児童の科学観の変容を見取り,授業改善を行った。そして事後調査として,科学観に関する半構造化インタビューを行い,児童の科学観の実態や変容を詳細に検討した。アクション・リサーチによる実践・分析結果から,(1)科学観(実証性・再現性・客観性の捉え方)の変容の困難さの違い,(2)観点間の関連性,(3)学習の文脈への依存性が明らかとなった。また事後調査の結果から,当該観点の概念形成には個人差が生じていることや,前述の実践から得られた解釈の妥当性が確認された。