2025 年 65 巻 3 号 p. 609-618
本研究は,中学校における化学変化と原子・分子で学習する化学反応式についての理解を向上させることを目的としてブロック玩具を原子モデルに用いた学習を行った。調査問題の結果,ブロック玩具を原子モデルとして操作して学習した化学反応式について理解が高まることが分かった。加えて,ブロックの大きさで原子価を表すことで,原子の腕の数を考慮して化学変化を考えることができるようになると考えられる。これは化学反応によってどのような物質ができるのかを予想する場面でもブロック玩具を用いた原子モデルが役立つことを示している。また,質問紙調査の結果,ブロック玩具を用いた原子モデルを活用することで,原子モデルをカードで表した従来の教材よりも,化学反応式の学習に対しての好嫌,分かりやすさ,学習継続意欲が肯定的に高くなることが分かった。