理科教育学研究
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原著論文
科学の本質(Nature of Science)の理解が理科の自律的な学びに与える影響について
中込 泰規渡辺 理文小倉 康
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2025 年 65 巻 3 号 p. 535-554

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抄録

本研究は,日本の中学校における理科授業に,年間を通じて科学の本質(Nature of Science:以下,NOSと示す)の理解を促す実践を位置付け,NOSの理解を深めると共に,その理解を科学的な探究に適用することで,自らの学習を調整して進めることに寄与するか検証を行ったものである。実践を通じて,8割以上の生徒はNOSの理解を深めることから,「理科を学ぶ意義」や「どのように理科を学ぶか」についての考えを見出していた。その見出した考えを基にして,自己調整的に学習を展開する生徒の姿を確認することができ,NOSの理解から,理科の自律的な学習が促されることを明らかにした。生徒は,「理科を学ぶ意義」や「どのように理科を学ぶか」について,見出した考えを科学的な探究に適用するだけでなく,適用した学習の過程を内省することから,見出した考えを徐々に精錬させていった。その結果,NOSの理解をさらに深め,現在取り組んでいる学習以降にまで及んで,自己調整的に学習を展開していこうとする姿を確認することができた。

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© 2025 日本理科教育学会
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