2016 年 31 巻 2 号 p. 133-138
62歳,男性。初診の1年前から急激に増大し,初診時,右大腿後面に18×11 cm大の腫瘊を認め,部分生検の組織所見より有棘細胞癌と診断した。MRI所見では,腫瘊深部は筋に近接しており,右鼠径および外腸骨のリンパ節が腫脹していた。CDDPと5-FUの術前化学療法による腫瘊縮小を確認後に筋膜を含めた腫瘊切除と右鼠径リンパ節廓清を施行した。全摘標本の水平・深部断端は陰性で,リンパ節転移はみられず,Stage II(T2N0M0)と確定した。術後7日目に一部椊皮部が離開し再縫合と床上安静を要した。術後20日目に抗生剤上応性の高熱を生じ,血清CRP,D-dimerが上昇したため,緊急造影CT検査を施行し両側肺塞栓症が判明した。直ちに抗凝固療法を開始することで,術後41日目に退院可能となった。肺塞栓症は致死的となりうる重要な周術期合併症であり,皮膚外科領域の手術においても常に留意すべき合併症である。