Skin Cancer
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皮膚リンパ腫に対する放射線治療の役割
大塚 幹夫
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2004 年 19 巻 1 号 p. 72-79

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抄録
皮膚悪性リンパ腫の治療における放射線療法の位置付けを文献的に検討した。ほとんどの報告は症例比較研究などの非実験的記述であり, 各治療法間の患者背景因子を一致させておらず, エビデンスの質が高いとは言えないものであった。菌状息肉症では全身の体表照射が予後を改善するかという点が争点の一つになっているが, 明確な見解は出ていない。NK細胞リンパ腫については皮膚原発例のまとまった報告がなく, 鼻腔原発例の結果から考えると, 放射線療法と通常量の化学療法の併用は放射線療法単独の効果を上回らない可能性が示されている。皮膚B細胞リンパ腫では放射線療法は有効であり, 第1選択の治療法の一つと考えられるが, 一部にみられる予後不良例で放射線療法のみでは不十分な可能性がある。また, 皮膚B細胞リンパ腫はEORTC分類とREAL/WHO分類の違いが大きく, 複数の報告間の比較が困難である。
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© 日本皮膚悪性腫瘍学会
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