皮膚の科学
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症例
ハイドロキシウレアによる皮膚潰瘍:薬剤中止後にも症状が再燃した1例
東前 和奈松村 由美谷岡 未樹谷崎 英昭宮地 良樹
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2013 年 12 巻 2 号 p. 74-78

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抄録
症例は72歳,男性。真性多血症に対しハイドロキシウレア内服を開始したところ,開始1年7ヶ月後に外踝に皮膚潰瘍が出現し踵部に拡大した。通常ハイドロキシウレア中止によって皮膚潰瘍は改善することが多いが,自験例では中止後にいったん改善したにも拘らず再燃を認めた。足潰瘍をきたす原因として,動脈および静脈性の血行障害,糖尿病,感染症,膠原病などを考え各種検査行ったが有意な所見は認めなかった。ハイドロキシウレアの細胞毒性が皮膚脆弱性を引き起こし,その結果軽微な外的刺激による皮膚潰瘍を形成し,中止後の潰瘍新生につながった可能性を考えた。外力がかからないように工夫をすることで速やかに皮膚症状は改善した。ハイドロキシウレアの中止だけでは改善しない場合,外力の影響も考慮し,工夫を加える必要がある。(皮膚の科学,12: 74-78, 2013)
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© 2013 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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