皮膚の科学
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症例
アブラキサン®による薬疹の1例
真鍋 蘭夏秋 優山西 清文
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2013 年 12 巻 2 号 p. 79-82

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抄録

60歳,女性。左乳癌に対してアブラキサン®を投与された翌日より体幹,四肢にそう痒を伴う紅斑が出現した。5日後の初診時,体幹,四肢に播種状に紅斑,丘疹を認め,掻破痕を伴っていた。ベポタスチンベシル酸塩の内服とベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステルの外用で,皮疹は約1週間で軽快した。本人の化学療法継続の希望に従ってアブラキサン®を再開し,投与の毎に同様の皮疹が出現したが,腫瘍は縮小した。アブラキサン®による薬剤リンパ球刺激試験は陰性で,自験例をアブラキサン®による紅斑丘疹型薬疹と診断し,非アレルギー性の機序により生じたと考えた。癌の化学療法では軽症の薬疹であれば治療を継続する選択肢もあると思われた。(皮膚の科学,12: 79-82, 2013)

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© 2013 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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