2019 年 18 巻 5 号 p. 300-305
77歳,女性。赤芽球癆,慢性関節リウマチでシクロスポリン,プレドニゾロン内服中だった。 2014年10月初旬より全身の倦怠感,発熱,多発する皮下腫瘤を認めた。右頬部の皮下膿瘍を穿刺した膿のグラム染色より放線菌感染を疑い,ST 合剤を投与し炎症反応,皮下腫瘤ともに改善した。培養では Nocardia farcinica が検出され確定診断に至った。播種性ノカルジア症は予後不良な疾患であり,免疫不全患者に皮下膿瘍等を呈した場合はノカルジア症も念頭に置き早期治療を行う必要がある。 (皮膚の科学,18 : 300-305, 2019)