2021 年 20 巻 3 号 p. 242-246
48歳男性。右 1 ,5 趾の難治性皮膚潰瘍で当院紹介受診。動脈硬化性疾患の既往はないが, 1 日40 本の喫煙歴を認めた。下肢血管造影検査にて右膝窩動脈起始部および前脛骨動脈が起始部 1/3 以遠より先で閉塞し,多数の側副血行路が発達,足背部はコークスクリュー様の側副血行路のみで栄養されていることが確認された。特徴的な血管造影所見より,Buerger 病と診断した。血液検査にて抗カルジオリピン抗体が陽性であり,抗リン脂質抗体症候群を疑い各種検査を施行したが,下腿動脈以外に血栓は認めなかった。Buerger 病および抗リン脂質抗体症候群の合併と考え治療を開始した。禁煙,抗血栓療法,PGE1 製剤,経皮的血管形成術により潰瘍は軽快した。抗カルジオリピン抗体とBuerger 病の関連について文献的考察を交え報告する。 (皮膚の科学,20 : 242-246, 2021)