2007 年 6 巻 1 号 p. 33-37
72歳,男性。比較的急速に増大する左第1指間の皮下腫瘍を主訴に受診した。皮下腫瘍は3cm大で波動を触れ,下層に2cm大の硬結を触知した。皮下腫瘍の切開で血性膿汁の排泄が認められ,下層の硬結は組織学的には肉芽腫であった。肉芽腫内にはGrocott染色で黒色を呈する真菌糸状体と思われる構造物が散見された。膿汁,肉芽組織の両者からTrichophyton rubrumが分離され,白癬性肉芽腫と診断した。基礎疾患に糖尿病があるが,免疫抑制薬の内服やステロイド外用の既往はなかった。また足爪白癬は認めるが,手に浅在性白癬はなかった。