抄録
顆粒変性を来たす代表的な疾患である水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症(BCIE),およびVörner型掌蹠角化症(PPK)の浸潤細胞を検討した結果多数のマスト細胞を認めた。マスト細胞の走化因子であるbasic fibroblast growth factor(basic FGF)の発現を検討した結果,健常人皮膚では有棘層上層に強く発現しているのに対し,これらの疾患では基底層に発現を認めた。basic FGFは,血管および表皮細胞増殖促進作用も報告がある。これらの疾患患者で認められる著明な過角化を伴う表皮増殖,毛細血管の増生,マスト細胞浸潤は,basic FGFが誘導因子の一つである可能性が示唆された。