ブレオマイシン(BLM)50μg/日を1ヵ月間マウス背部皮内に反復注射することにより皮膚硬化が誘導される。この皮膚硬化部位に作製した直径6mmの全層皮膚欠損創は,正常皮膚欠損創に比較して創閉鎖が有意に遅延した。本研究において我々は,この創傷治癒遅延モデルを用いてbasic fibroblast growth factor(bFGF)の創傷治癒促進効果を検討した。bFGF(1.0μg/cm
2)を創作製後に単回投与して被覆すると,対照群に比較して統計学的有意差はないものの,創閉鎖が促進された。また,TGFβ1とI 型コラーゲン(Col 1A1)遺伝子の発現量を定量的PCR法によって測定すると,TGFβ1の発現量にほとんど差はないが,Col1A1の発現量は約100倍増加していた。今回の実験により,フィブラスト
®スプレーの臨床的有効性がマウス皮膚潰瘍モデルにおいて確認された。
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