2023 年 21 巻 1 号 p. 25-39
本研究は日本語の受益文であるテアゲル・テクレル・テモラウの発達順序について処理可能性理論(PT)の仮説の1つであるLexical Mapping Hypothesis(LMH)に基づいて予測と検証を行った。まず、LMHによる受益文の統語構造の分析から、テアゲルとテクレルは統語構造のマッピングが同じであること、そして、テモラウはテアゲル・テクレルに比べマッピングが複雑であるため、学習者の処理負担が高いことが予測された。「多言語母語の日本語学習者横断コーパス(I-JAS)」に収められた100名の言語資料を用い、テアゲル・テクレル・テモラウの発達順序の検証を行った。PTで採用されている分布分析の方法であるImplicational Scalingを用いて分析した結果、受益文の発達順序は[テアゲル・テクレル>テモラウ]で含意することが検証された(Cscal=.89)。