2001 年 25 巻 4 号 p. 167-171
大脳基底核は大脳皮質と脳幹の間に位置する一連の神経核の集まりの総称である.大脳基底核はその障害によって運動機能の異常が生じることから運動の実行や計画にかかわり,また報酬に依存する神経活動から,目的指向行動を形成するための重要な役割を担うと考えられている.しかし,複雑に絡み合った核群の機能的役割はまだ謎のままである.本解説では,まず報酬をもとにした学習の枠組みである「強化学習」について解説し,次にこれまで調べられてきた大脳基底核にかかわる電気生理学,解剖学からの知見を紹介する.さらにこれらをもとに,我々が提案している大脳基底核の強化学習モデルについて解説する.