2005 年 29 巻 1 号 p. 14-19
模倣の神経回路の脳内局在は,腹側運動前野,下頭頂小葉,およびSTS周辺など関わっていることが,イメージングのデータによって示されている.こうした模倣の神経生理学的な基盤として考えられているのは,ミラーニューロンである.この特集にあるように,模倣は言語,心の理論,コミュニケーション,社会的行動,自閉症などと結びつけて考えられているが,ミラーニューロンが記録されたマカクザルの持っている能力と結びつけることには批判もある.そうした中で,いずれの機能も自己と他者が重要なキーワードとなっていると考えられる.本稿では,ミラーニューロンの機能を自己身体感覚と結びつけ,模倣の神経回路との関連を探る.