バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
身体知としての弦楽器演奏のスキル
古川 康一
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2006 年 30 巻 1 号 p. 17-20

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抄録
我々は弦楽器演奏を取り上げ,職業演奏家の技を明らかにすることを目的として身体知の言語化の研究を始めた.より具体的には,大きな自由度をもつ右手による運弓動作に着目した.そこでの問題は,最適な軌道を選択すること,および,その軌道を常に再現するためのスキルを身に着けることである.軌道を選択する際に必要となる最適性の基準としては力学的な妥当性および体の可動域などの制約条件を想定した.実際に職業演奏家の体の動きを観測し,その動きの力学モデルによる説明を求めた.さらに,演奏中の生体力学的時系列データを計測し,それらのデータの中から特徴的なパターンを抽出して高度な演奏の秘密を解き明かす試みにも挑戦している.
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© 2006 バイオメカニズム学会
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