2008 年 32 巻 2 号 p. 90-97
本研究の目的は,シミュレーションモデル SWUM(Swimming hUman Model)によって水中ドルフィンキックの推進メカニズムを解明することであった.エリート競泳選手8名を対象にシミュレーション用入力データを算出し, SWUMを応用することでシミュレーション上に水中ドルフィンキックのダイナミクスを再現し,泳中の推進力と関節トルクを算出した.結果として,水中ドルフィンキックの推進力は主に足部で発揮され,推進力発揮には下肢だけではなく体幹でのトルク発揮が重要であることが明らかとなった.さらに,バタフライ泳者で腰痛が起こりやすい要因の 1つとして,水中ドルフィンキック泳中に体幹で大きな関節トルクを周期的に発揮していることが挙げられた.