バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
遊泳・飛翔生物の運動の非定常性と波動性について
劉 浩
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2010 年 34 巻 3 号 p. 207-215

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抄録

生物は,ナノサイズの分子やタンパク質から,サブミクロンレベルの細胞やバクテリア,ミリサイズの昆虫や魚類,そしてメータサイズのイルカやクジラまで,11 桁にも亘る広大なスケール間に多様な形態,複雑な運動・機能が常にまわりの環境に適応し淘汰・進化する.生物の運動は,各スケールにおいて船や飛行機の人工物のような‘直線的推進’ではなく,横の運動,いわゆる波動によるものが殆どであり,これらの最適化された運動機構が非定常性と波動性の調和によるものと考えられる.本稿では,著者がこの生物流動波というコンセプトを導入し,新しい視点に立って,遊泳・飛翔生物の運動における非定常性と波動性を考察し,生物運動メカニズムに対して統一的に取り扱う考え方について述べる.

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© 2010 バイオメカニズム学会
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