抄録
水棲生物を系統樹から形態学的に分類すると彼らの遊泳運動メカニズムが大まかに分類できてくる.さらに生活形態を見ると運動形態が自ずと定まってくる.彼らの運動メカニズムは大きく揚力推進メカニズムと抗力推進メカニズムとに二分できる.前者は恒常的に遊泳するもの,後者は逆に常日頃は不活発であるが,非常時には瞬発力を発揮できるものである.生活形態が中心となって,自然淘汰によって生活に関わるエネルギーが最小になるように運動モードが決定しているようである.本解説ではそれぞれのメカニズムを述べると共に,さらに分類できるものは具体例を挙げて詳細な運動メカニズムを述べている.