バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
34 巻, 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
解説
  • 中島 求
    2010 年 34 巻 3 号 p. 175
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
  • 上村 慎治
    2010 年 34 巻 3 号 p. 176-182
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    地球上で現存する2 つの大きな生物グループ,原核生物と真核生物が進化させた2 種類の遊泳運動機構,バクテリアの 回転モーター型べん毛と,真核生物の屈曲運動型べん毛・繊毛について,運動メカニズムを紹介し,その力学的な特性を議論する.運動機構の比較から,バクテリア型のべん毛では回転モーターの機械的な強度が,真核生物のべん毛・繊毛ではエネルギー源となるATP 供給速度が,大きな制約条件になっていると考えられる.これは2 つの運動機構がまったく別々の経緯で進化してきた事実と符合する.
  • 後藤 知伸
    2010 年 34 巻 3 号 p. 183-188
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    微生物はまわりの流れに身を委ねるだけではなく自律的に遊泳運動し,その運動は生存や繁殖に重要な意味をもってい る.バイオフィルムの形成など多数の微生物が集積する現象と関連して,近年,表面近くの微生物の運動が興味を集めている.螺旋形のべん毛を回転させて泳ぐ細菌の場合,表面近くでの運動は自由空間のそれとは異なる.この原因を表面の及ぼす流体力学的な影響に求めると,表面近くではべん毛と菌体の回転に起因する横方向への力が発生すること,側方からの流れが表面の存在によって妨げられることがあげられる.単毛性細菌の遊泳運動について,流体力学的な影響による表面への集積の可能性を示唆する数値解析例と,表面近くでの3 次元運動の観察例を紹介する.
  • 小林 俊一
    2010 年 34 巻 3 号 p. 189-194
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    スクリュプロペラに代わる生物の運動を規範とした水中推進機構として,著者はウナギや水ヘビなど,体全体を屈曲させる生物の水中遊泳の運動メカニズムを模範とした多リンク型流体内推進機構を開発してきた.本稿では同推進機構の屈曲曲線,高粘性泥水における推進力,フィン形状による推進速度の影響について述べる.
  • 加藤 直三
    2010 年 34 巻 3 号 p. 195-202
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    不整地や波や流れの中でも陸から海中まで移動ができる水陸両棲生物のカメに着目し,その生物の運動メカニズムを解 明することで,自然海岸や干潟の環境モニタリングを行うロボットの開発に生かすことが可能となる.歩行を得意とするリクガメと遊泳を得意とするウミガメについて,歩行と遊泳の運動解析を行った.それらのデータをもとに,4 軸を持ったマニピュレータを製作し,リクガメ,ウミガメそれぞれの歩行動作を再現し,実験によって歩行性能の評価を行なった.さらに,リクガメの歩行,ウミガメの遊泳を可能とする自律型ロボットを設計・製作した.
  • 伊藤 慎一郎
    2010 年 34 巻 3 号 p. 203-206
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    水棲生物を系統樹から形態学的に分類すると彼らの遊泳運動メカニズムが大まかに分類できてくる.さらに生活形態を見ると運動形態が自ずと定まってくる.彼らの運動メカニズムは大きく揚力推進メカニズムと抗力推進メカニズムとに二分できる.前者は恒常的に遊泳するもの,後者は逆に常日頃は不活発であるが,非常時には瞬発力を発揮できるものである.生活形態が中心となって,自然淘汰によって生活に関わるエネルギーが最小になるように運動モードが決定しているようである.本解説ではそれぞれのメカニズムを述べると共に,さらに分類できるものは具体例を挙げて詳細な運動メカニズムを述べている.
  • 劉 浩
    2010 年 34 巻 3 号 p. 207-215
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    生物は,ナノサイズの分子やタンパク質から,サブミクロンレベルの細胞やバクテリア,ミリサイズの昆虫や魚類,そしてメータサイズのイルカやクジラまで,11 桁にも亘る広大なスケール間に多様な形態,複雑な運動・機能が常にまわりの環境に適応し淘汰・進化する.生物の運動は,各スケールにおいて船や飛行機の人工物のような‘直線的推進’ではなく,横の運動,いわゆる波動によるものが殆どであり,これらの最適化された運動機構が非定常性と波動性の調和によるものと考えられる.本稿では,著者がこの生物流動波というコンセプトを導入し,新しい視点に立って,遊泳・飛翔生物の運動における非定常性と波動性を考察し,生物運動メカニズムに対して統一的に取り扱う考え方について述べる.
研究
  • 高木 斗希夫, 藤井 範久, 小池 関也, 阿江 通良
    2010 年 34 巻 3 号 p. 216-224
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,野球における速度の異なるボールに対する打撃動作に影響を及ぼす力学的要因を明らかにすることを目的とした.速度の異なるボール(75-80km/h,100-105km/h,125-130km/h)を被験者に打撃させ,3 次元自動動作分析システムを用いて動作を計測するとともに,2 台のフォースプラットフォームを用いて両足下の地面反力を計測した.下肢及び体幹部に作用する関節力および関節トルク,さらに股関節トルクを下胴の長軸周りの軸へ投影した成分(下胴回転成分)などを算出した.その結果,ボール速度の大きい条件では,投手方向への身体の移動に関与する力積が小さく,この要因として踏出足接地から身体重心速度が最大値に到達する時点までの動作時間の短さが大きく影響を及ぼしていた.また,ボール速度の大きい条件では,軸足側では股関節外転トルクの下胴回転成分,踏出足側では股関節屈曲トルクの下胴回転成分が大きく作用していた.
  • 浅野 裕俊, 武藤 拓路, 野口 啓太, 水野 統太, 井出 英人
    2010 年 34 巻 3 号 p. 223-239
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    本研究は障害者のためのナビゲーションの開発を目的とする.我々は聴覚の代行として触覚を用いた.実験ではモータを使用して両耳に仮現運動を生起させて被験者に方向情報を伝達した.その結果,被験者は6 種類の方向を認知できることがわかった.また,6 つの方向と被験者の主観的な感覚との関係を検討した結果,個人が感じる方向に一貫性があることがわかった.
  • 木村 宏樹, 元田 英一, 鈴木 康雄, 金井 章, 吉倉 孝則, 種田 裕也
    2010 年 34 巻 3 号 p. 225-232
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    前十字靱帯(ACL)再建術術後の大腿四頭筋筋力訓練の一つにレッグプレス運動がある.本研究では,レッグプレス運 動において,姿勢の違いがACL にかかる負荷である脛骨引き出し力や筋張力に与える影響について考察した.矢状面から動作計測を行い,下肢関節角度と足部に作用する反力から筋骨格モデルを用いて脛骨引き出し力や筋張力を推定した.11 種の姿勢について検討した結果,脛骨へは常に後方引き出し力が作用しACL 再建術術後の大腿四頭筋筋力訓練としてレッグプレス運動は安全であること,体幹を屈曲させることでより大きな後方引き出し力が作用しより安全に行えることが示唆された.
  • 藤澤 宏幸, 武田 涼子, 山崎 弘嗣, 佐藤 洋一郎, 村上 賢一, 鈴木 誠
    2010 年 34 巻 3 号 p. 240-247
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,立ち上がり動作のネットトルクに対する相互作用トルクの寄与を明らかにすることである.対象は健常成人男性10 名(年齢20.4 ± 0.7 歳)とし,3 セグメントモデルにより動作中のネットトルク,相互作用トルク,筋トルク,椅子からの反力によるトルクを,ラグランジェの運動方程式より算出した.また,ネットトルクに対する各トルク成分の寄与率を求めた.さらに,筋活動を観察するために大殿筋,内側広筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,ヒラメ筋から表面筋電図を導 出した.結果,全ての関節においてINT の寄与率が最も高く,全身的な抗重力運動においても相互作用トルクが関節運動の形成において大きく関与していた.一方,運動開始においては股関節の筋トルクが主体となりhip-centered pattern を形成していることが明らかとなった.
  • 酒井 利奈, 尾畑 幸代, 吉岡 亮, 糸満 盛憲, 前澤 伯彦, 馬 渕 清資
    2010 年 34 巻 3 号 p. 248-253
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,転子間プレートの圧力に対する影響を評価するために,プレートを付与した場合と取り外した場合のステ ムで圧力測定を行い,ステム上の圧力分布を指標とした比較を行った.  生体骨組織と類似している模擬大腿骨10 本を使用し,掘削することでステムの外形状と髄腔内形状を一致させた.測定システムは,計測制御用コンピュータ,I-SCAN,PCI インターフェイスボード,タクタイルセンサシート,センサコネクタにより構築した.タクタイルセンサシートを模擬大腿骨とステム間に装着し,人工股関節安定性試験器に設置し,骨頭部に荷重650N を30 秒間負荷した.内外側と前後方向について荷重負荷後の圧力分布を定量的に求め,最大値を結果として提示した.  プレートを有するステムがプレートを取り外したステムに比較して圧力が低値を示した.  プレートが荷重を分散させたことにより,骨と人工股関節ステム界面における圧力を低減させたと推察した.
ショートペーパー
  • 渋谷 恒司, 井上 智隆, 河合 光太
    2010 年 34 巻 3 号 p. 254-258
    発行日: 2010年
    公開日: 2016/04/15
    ジャーナル フリー
    In this paper, we propose a new buoyancy control device utilizing the phase change of material between liquid and solid states. In general, when solid material is heated above its melting point, the material melts and changes to a liquid state having a larger volume. This causes an increase in buoyancy. One hypothesis claims that sperm whales change their buoyancy based on the same principle. We have already developed a buoyancy control device utilizing rubber stretch to change a volume. In this paper, we build another device based on the same principle with a two step piston mechanism. First, we investigated which material is suitable for this device and find that lard oil is more suitable than paraffin wax, which was used in the previous version of the buoyancy control device. Then, we build a buoyancy control device with the mechanism and confirm its usefulness through experimental results
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