抄録
本研究の目的は,立ち上がり動作のネットトルクに対する相互作用トルクの寄与を明らかにすることである.対象は健常成人男性10 名(年齢20.4 ± 0.7 歳)とし,3 セグメントモデルにより動作中のネットトルク,相互作用トルク,筋トルク,椅子からの反力によるトルクを,ラグランジェの運動方程式より算出した.また,ネットトルクに対する各トルク成分の寄与率を求めた.さらに,筋活動を観察するために大殿筋,内側広筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,ヒラメ筋から表面筋電図を導
出した.結果,全ての関節においてINT の寄与率が最も高く,全身的な抗重力運動においても相互作用トルクが関節運動の形成において大きく関与していた.一方,運動開始においては股関節の筋トルクが主体となりhip-centered pattern を形成していることが明らかとなった.