2011 年 35 巻 2 号 p. 98-106
一般に体組成の加齢変化としては,体脂肪の増加とともに全身筋量の低下が認められる.すなわち,高齢者は「肥満」 と「やせ」の問題を同時に抱えていることになる.現在の生活習慣病対策では,国民の医療費適正化対策の一環として,メタボリックシンドロームの基準値に基づいた特定保健指導が義務付けられているが,介護予防の観点から考えると,加齢による筋量およびそれに伴う筋機能の低下,すなわちサルコペニア対策も重要であると考えられる.本稿では,サルコペニアおよびメタボリックシンドロームと運動・身体活動,体力,遺伝との関連について解説し,生活習慣病予防のためのテーラーメイド運動処方プログラムの可能性について言及する.