バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
後方へのステップ着地時に不安定性を呈する 高齢者の身体動揺と関節モーメント特性
竹内 弥彦下村 義弘
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2015 年 39 巻 2 号 p. 101-107

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抄録

本研究では転倒防止に重要なステッピング反応に着目し,身体重心動揺と下肢関節モーメント,それらの関係性から後方へのステップ着地時に不安定性を呈する高齢者の特性を明らかにすることを目的とした.対象は健常高齢者19 名とし,外乱負荷時の反応からsingle step 群とmulti step 群に選別した.動作解析装置と床反力計を用いて,ステップ着地時における身体重心動揺と関節モーメントを計測し両群間で比較した.結果,multi step 群では着地時に発揮する足関節底屈・外がえしモーメントが有意に低値を示し,左右方向への身体重心動揺は高値を示した.ステップ着地時に不安定性を認める高齢者の特性として,着地時での左右方向への身体重心動揺を制御する能力が低下しており,その要因の一つとして足関節の底屈モーメントを適切に発揮できていないことが明らかとなった.

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