バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
手術室で使われているパッシブな装置
岡本 淳
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2017 年 41 巻 2 号 p. 59-62

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抄録

手術室には多くのパッシブな装置が導入されている.手術中に機器を任意の位置に位置決めするニーズが多いこと,本質的に安全な装置で手術を行いたいこと,そもそもアクティブな装置を使うことが難しい特殊環境であることなどがその理由である.本解説では,手術室の機器としてパッシブなメカニズムが採用されている手術顕微鏡,機器の位置決め装置,定位脳手術・穿刺支援装置,執刀医の支援装置について紹介する.手術顕微鏡は微細な手術には必須の医療機器であり,顕微鏡本体はオーバーヘッド型のパッシブアームに吊り下げられている.また,汎用の位置決め装置や,内視鏡保持アームなども同様にパッシブアームが用いられている.精密な位置決めが必要な定位脳手術等でも,パッシブな位置決め装置が使われている.これは術前計画に合わせて機構の位置姿勢を調節する方法であり,近年はナビゲーション誘導で行うタイプも登場している.執刀医のサポートを行うパッシブアームも登場しており,iArmS® はスイッチレスでアームのロック・フリーを切り替える新規のインテリジェント手台装置である.「手術室で使われているパッシブな装置」という分野においては我が国の独特な技術が世界をリードしているといえる.

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© 2017 バイオメカニズム学会
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