バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
41 巻, 2 号
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解説
  • 菅原 雄介
    2017 年 41 巻 2 号 p. 44
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
  • 平田 泰久
    2017 年 41 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,パッシブロボティクスと呼ばれる概念に基づいて研究開発されてきた非駆動型ロボットを紹介する.非駆動 型ロボットとは,ロボットに加えられる外力に対して本質的に受動的な運動特性を持つように設計されたシステムであり,この本質的受動特性を有しながら様々な支援機能を実現するものである.人間支援ロボットを想定した場合にロボットが本質的受動特性を持つことは,ロボットが人間の操作力によってのみ駆動されることを意味し,サーボモータ等で能動的に駆動されるロボットと比較して,非常に高い安全性を持たせることが可能となる.また,基本的には人間の操作力によって動かされ,必要なときのみ何らかのアクチュエータによって運動制御されることから,その消費電力も非常に低くなる.高い安全性確保と低消費電力の実現は,人間支援ロボットの実用化を加速させるものであると期待する.本稿では,著者らが提案してきたサーボブレーキを用いた非駆動型ロボットを紹介し,ブレーキ制御可能領域と呼ばれる運動制御条件に注目した制御手法を紹介する.また,ブレーキ制御技術に限定しない新しい非駆動型ロボットを紹介するとともに今後の展望について述べる.
  • 樋口 峰夫
    2017 年 41 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    3 次元の作業空間に任意の2 次元状の案内面を発生することができる「線形和機構」と,この機構を組み込むことで設 定した案内面内では人間が与えた外力によって自由に動作可能になる,アーム状の装置である「人間共存型作業補助アームPAS-Arm」を開発した.本稿ではこれらの開発の背景について述べた後,線形和機構とPAS-Arm の原理について簡単に紹介する.線形和機構は3 個の軸を持ち,これらの軸が無段変速機(Continuously Variable Transmission, CVT)を介して差動歯車で結合された構成である.CVT の変速比を調整することで,任意の2 次元状の案内面を発生することができる.PAS-Arm では従来のロボットでは除去できなかった危険源である関節駆動用モータを除去した本質安全設計が可能になる.
  • 岡本 淳
    2017 年 41 巻 2 号 p. 59-62
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    手術室には多くのパッシブな装置が導入されている.手術中に機器を任意の位置に位置決めするニーズが多いこと,本質的に安全な装置で手術を行いたいこと,そもそもアクティブな装置を使うことが難しい特殊環境であることなどがその理由である.本解説では,手術室の機器としてパッシブなメカニズムが採用されている手術顕微鏡,機器の位置決め装置,定位脳手術・穿刺支援装置,執刀医の支援装置について紹介する.手術顕微鏡は微細な手術には必須の医療機器であり,顕微鏡本体はオーバーヘッド型のパッシブアームに吊り下げられている.また,汎用の位置決め装置や,内視鏡保持アームなども同様にパッシブアームが用いられている.精密な位置決めが必要な定位脳手術等でも,パッシブな位置決め装置が使われている.これは術前計画に合わせて機構の位置姿勢を調節する方法であり,近年はナビゲーション誘導で行うタイプも登場している.執刀医のサポートを行うパッシブアームも登場しており,iArmS® はスイッチレスでアームのロック・フリーを切り替える新規のインテリジェント手台装置である.「手術室で使われているパッシブな装置」という分野においては我が国の独特な技術が世界をリードしているといえる.
  • 菊池 武士
    2017 年 41 巻 2 号 p. 63-66
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    ER・MR 流体はシリコンオイル等の基油にポリマー粒子,もしくは磁性粒子を分散させた固液混合材料であり,外部からの電場・磁場によってそのレオロジー特性を制御することができる.筆者らはこれまでこの材料を用いた力(トルク)制御デバイスの高性能化に向けた研究開発を継続しており,種々のメカトロニクス機器に応用してきた.本稿では特に医療・福祉機器への応用に関して解説する.
  • 南後 淳
    2017 年 41 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    動力源を用いずに,平面リンク機構を介して使用者自身が駆動・操作する形式の脚部動作の補助装置(立ち上がり補助装置と歩行補助装置)の設計手法を紹介する.繰り返し動作を高い再現性で実現できる平面リンク機構の特徴に着目し,使用者が自らの体調を判断して駆動力を自身で調整する.装置だけでなく脚部もリンクと回転軸で表現した運動学モデルで構築し,日常での脚部動作を再現できるように設計パラメータを決定する.これは,補助対象となる動作を行う脚部の各関節角変位を測定し,脚部上にある装置と接触する点が描く軌跡を得て,それに対して,人体と接触する装置上の描く軌跡をシミュレーションにより算出し,それら軌跡上の対応する点間の距離が小さくなるようにして決定する.試作した装置を使用した場合の運動を測定するなどして,補助の特性を検証する.
  • 菅原 雄介
    2017 年 41 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,著者らの提案する「人力ロボティクス」のコンセプトについて紹介する.これは操作者が加える動力により駆動されながらもシステム内部の動力流れの操作によりその運動を制御することで,自転車や手動ホイストなどのような人力 機械の長所とロボットシステムとしての多機能性を兼ね備える知的人力システムを実現しようとするものである.これまでに,一対のパウダクラッチを用いた1 自由度関節機構による出力軸のサーボ制御,また開発した人力パーソナルモビリティによる搭乗者のペダリング動力による車輪角度制御,前後進や超信地旋回,倒立振子制御などを実現している.このほか開発中の回生ブレーキと差動歯車を用いたサーボクラッチ機構,およびこれを用いた関節機構についても紹介する.
  • 遠藤 央
    2017 年 41 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    本研究では人力ロボティクスの概念に基づき,人のペダリング運動を動力とするスマート・モビリティに関する技術開 発に取り組んでいる.このモビリティでは漕力の伝達量をクラッチにより操作することで,車輪の回転軸まわりのトルクを制御する.これにより自転車のようなペダル駆動の乗り物において,障害物や段差を回避する安全補助機能や,予め設定された道筋を走行する軌道追従機能などが実現できる.これだけでなく,入力である人間のペダリング運動を回生ブレーキと無段変速機により制御する.自転車などは走行面の傾斜や凹凸,その走行状況により人間に対する負荷量が変化するが,提案するモビリティでは人間が継続してペダリング可能な状況を維持することが可能である.最適な負荷量で長時間搭乗することで健康増進がねらえる.加えて疲労が蓄積しない負荷も実現できるため,従来では原動機を搭載する乗り物で移動していた距離も,提案モビリティにより移動することが期待できる.提案するモビリティはゼロエミッションであるため,環境親和性も良い.本稿では,提案するシステムのコンセプトを紹介し,現在の開発状況について述べる.
  • 鈴木 健嗣
    2017 年 41 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    我々は,高い剛性を仮定していた従来のロボティクス理論を拡張し,剛体(外骨格)とガススプリング,剛体と超弾性体,マニピュレータとフリージョイント,MR 流体と柔軟体(バネ),マニピュレータ及び生体力学といったような剛性の高い機構と柔軟性を有する機構とを合理的に組み合わせるための力学的理解に基づくロボティクス理論の構築を目指している.すなわち,所望のタスクに対して,ロボット関節の動作目標が何であるかを力学的に明らかにし,それを数学的に定式化した上で,機構の仕様と制御方策を提供する新しいロボティクス理論(=スマートメカニクス)である.ここでは,その背景について述べるとともに,これらによる人を支援するロボット支援機器への応用について述べる.
研究
  • 松本 拓也, 太田 憲, 仰木 裕嗣, 高橋 敏之, 間 弘子, 湯川 治敏
    2017 年 41 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/18
    ジャーナル フリー
    歩容は各肢の振動数と位相差で記述でき,多くの歩容に関する研究は各肢の振動数が一致している前提で,主に位相差の制御を議論してきた.しかし,サラブレッドのように前後肢の構造に差があり固有振動数が異なる場合,歩容を実現するためには振動数を一致させる制御も必要である.そこで本研究は,サラブレッドの四肢の振動数を調整するメカニズムを明らかにするため,各肢を合成振子として扱いダイナミクスの観点から前後肢の運動を比較した.実験ではトレッドミル上を走るサラブレッドをモーションキャプチャで計測し,エネルギーに基づいた解析を行い,後肢は主に回転トルクでスイングするのに対し,前肢は後肢に比べ固有振動数が低いためトルク発揮と共に振子長の短縮も行い,よりエネルギーを増加させ振動を加速させることを明らかにした.以上より,サラブレッドは各肢の力学的差異を補償しながら,各肢の振動数を調整して走行していることが示唆された.
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