2018 年 42 巻 1 号 p. 37-42
高齢化が進む日本は,社会構造や価値観が大きく変容する一方で,ハード・ソフトの両面で様々なインフラを更新することなく,歩みを進めてきた. そのような社会状況の中,複数の要因が絡みながら,具体的な課題がコミュニティの中で生じてきている.こうした地域課題を解決するには,行動原理の異なる産官学民マルチステークホルダーの協働を基盤にした研究スタイルであるコミュニティ・アクションリサーチが重要となる.本稿では,JST 社会技術研究開発センター「コミュニティにおける新しい高齢社会のデザイン」研究開発領域におけるアクション重視のプロジェクト推進に関する議論と経験をもとに,N = 1 のコミュニティを舞台としたアクションリサーチの実践的および学術的可能性を論じる.