抄録
ハイパースキャニングとは,コミュニケーション中の二者から同時に脳活動を計測し,二者間での脳活動相関といった 形でコミュニケーションを特徴づける脳活動のハイパーパラメータを計算することで,コミュニケーションの神経基盤を描出 することを目指す研究手法である.この研究手法は時折,非科学的であるとか意義を感じられないという反応に出くわす.本 研究では,筆者の過去の研究経験をもとに,ハイパースキャニング研究をおこなう意義,脳活動の二者間相関が発生する機序, さらには実験計画を立てる際の注意点などを紹介する.またこれまでに行われた幾つかのハイパースキャニング研究を紹介す るとともに,今後,さらなる検討が求められる点を議論する.