抄録
姿勢歩行分野では,定常歩行だけでなく,外部環境に応じた調節が必要とされる適応的歩行運動を計測することが,人
の運動の理解やリハビリテーションへの応用を考える上で重要とされている.本稿では,代表的な適応的歩行である障害物跨ぎ歩行の動作を,簡便に計測するためのマーカレスモーションキャプチャ技術について論じる.先ず,障害物跨ぎ歩行課題の概要と臨床的意義を述べる.続いて,著者らの研究事例として,1)Azure Kinect を用いた障害物跨ぎ歩行計測と,2)OpenPose を用いた幼児の障害物跨ぎ歩行計測について概説する.さらに,3)姿勢歩行分野での応用が進む Azure Kinect,OpenPose,DeepLabCut 等の各種マーカレスモーションキャプチャの性質や限界について解説する.それぞれの技術の特徴を把握した上で,適切な技術を選定することで,障害物跨ぎ動作のような適応的歩行動を,一定の妥当性を担保した上で簡便に測定することが可能となる.