企業間情報流通のキーとなるEDI標準化は,近年,1980年代までの日本型継続的組織間関係の下での相対的に閉じた調整プロセスに変化がみられる.ここでは,流通EDI標準化をめぐる組織間協力について,第一に,1980年代までは,系列・企業グループのような互酬戦略により構築される継続的組織間関係で展開されてきたことを明らかにする.それに対して,第二に,現在のオープンEDI標準化は,「競争的協力」のようにオープンで参入・退出の自由な組織間関係で行われることが求められており,標準化の専門機関(媒介組織)の仲介により協力を行う体制づくりでの正統性調達戦略がキーとなりつつあることを議論する.