2006 年 40 巻 2 号 p. 27-42
「失われた10年」を経験した日本において,会社を取り巻く諸制度は大きく変貌を遂げることとなった.これまで禁止されていた純粋持株会社制(HD(Holdings)システムと呼称する)が,グループ経営方法の新たな戦略的企業組織デザインとして登場することとなった.本稿では,製造業でのHDの採用事例に検討の対象をしぼり,HDシステムの下で,どのような戦略的マネジメント機能(事業評価と事業統治)が提供されるべきであるか,さらに管理会計の貢献・課題について考察を行うものである.