抄録
症例は60歳代の男性.3日前からの発熱と肛門痛で当院へ紹介.9時方向の殿部に発赤・硬結を認めたが,排膿はなかった.血液検査では炎症反応の上昇を認め,腹部造影CT検査で高位の肛門周囲膿瘍と診断し,入院した.CTガイド下ドレナージを行い,膿汁を排液した.ドレナージ後速やかに改善し,7日目にチューブを抜去し退院となった.退院後,殿部右側に波動を伴う硬結を認め,一部が自壊し排膿した.自壊部からドレーンを挿入し経過を見ていたが,ドレーン刺入部に腫瘤形成を認め,生検で粘液腺癌の診断となった.PET-CTでは腫瘤内に高度のFDGの集積を示したが,遠隔病変はなかった.肛門管癌の診断で腹腔鏡下直腸切断術を施行した.病理所見で,直腸から肛門管に全周性の110×90mmの狭窄性腫瘤を認め,組織学的には粘膜下に粘液産生性腺癌の浸潤を認め,肛門腺由来肛門管癌pT4, N0, V1a, Ly1a, BD1, Stage IIと診断した.術後補助化学療法を行い,術後1年の経過で再発は認めていない.