社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
小特集1 雇用区分変化のメカニズムの探求:ケース・スタディを中心に
人事制度改革と雇用管理区分の統合
――女性労働者へのインパクトに着目して――
金井 郁
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2021 年 13 巻 2 号 p. 7-20

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抄録

 生命保険産業では,近年,非正社員の正社員化が大規模にすすめられている。また,一般職の総合職化といった雇用管理区分の統合も行われている。本研究は,伝統的生命保険会社の雇用管理区分統合をめぐる事例から,人事制度変更の実態とその背景と論理,内実の変化,女性労働へのインパクトについて検討した。

 その結果,先行研究ではコースを分けて人材育成することが効率的であると主張されてきたが,雇用管理区分で期待される役割を事前に固定化することは,効率的であるどころか,組織・育成上の課題となっていることが明らかとなった。雇用管理区分は,実際に担う業務にかかわらず,女性に対して社内で「期待される役割」を補助的なものと固定化してきたのに対して,雇用管理区分統合は「能力を発揮する主体」として女性を位置づけなおし,女性の「意思」に能力発揮を働きかける新しいタイプの女性活用策といえる。

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