近年、高齢者の就業率は上昇してきている。その背景には、タイトな労働市場の中で進展する人口の高齢化に対応するために実施されてきた、年金政策や高齢者就業促進政策の展開がある。本稿ではこれらの政策展開を整理した後、それらが及ぼした影響に関する最近の研究成果を検討する。その際、「定年前後の人材移動状況」と「定年後の継続雇用状況」という2つの側面に着目し検証する。他方、進展する高齢就業の結果、他の年齢層の就業が負の影響を受けてきたという議論がある。そこで次に、そのような高齢者の就業が他の年齢層の就業にどのような影響を与えたかについての研究結果を検討する。そしてこれらの検討の結果を踏まえ、今後の高齢者就業に求められることを明らかにする。その際、現在の政策課題になっている70歳までの就業確保を実現するためには、どのようなことが必要かを検討しながら、今後改善すべき点やその際の留意点に言及していく。