社会政策
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小特集■同一価値労働同一賃金研究の新地平
看護師にペイ・エクイティを実現する手段の一事例研究
針尾 日出義
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2017 年 9 巻 1 号 p. 98-108

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抄録

 現在,わが国では仕事の中身は変わらない場合においても,雇用区分等が異なるだけで,労働者の処遇に不当な格差が存在することが当たり前の状態にある。しかし,未だにこの課題の解決,つまり「同一価値労働同一賃金の考えの実現」に向けた実態的な研究は多くはない。同一価値労働同一賃金の実現においては,正規労働者の賃金ベースを非正規労働者の賃金ベースにあわせて低下させることは現実的ではなく,非正規労働者の賃金ベースを正規労働者に合わせて高めることが現実的である。その場合,増加する人件費の原資確保が非常に重要である。しかし,原資を確保するための経営体力には差がある。もちろん原資の確保を検討するとき,「原資は経営者がどうにかするもの」という考えが自然である。しかし本論は,それとは異なる方法による,増加原資確保についての事例の考察である。その結果,原資捻出という課題への対応という観点で,同一価値労働同一賃金実現の可能性を見出せた意味のある事例研究となった。 本論は,現在の超高齢化社会において社会的にも非常に重要性が高く,そして,国家資格職という専門職である看護師を研究の対象として調査研究を行った。

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