社会政策
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ロバート・オウエンの思想における「相互義務」と「権利付与」
金子 光一
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2017 年 9 巻 2 号 p. 113-122

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抄録

 本研究は,ロバート・オウエン(Robert Owen)の「結束と相互協力」(unity and mutual co―operation)の思想に着目し,オウエンが有した「相互義務」と「権利付与」の見解とその特質について明らかにしたものである。地域社会で暮らす住民全体を一つの「団体」と捉え,住民一人ひとりに地域に対する帰属意識や「愛着」をこれまで以上にもたせると同時に,コーポレーション(co―operation)としての地域社会に住民が積極的に参加していくための方策を探る上で,オウエンの「結束と相互協力」の思想は重要な意味をもつものと考える。まず,オウエンが執筆した出版物,講演の記録等から,「相互義務」や「権利付与」に関する言説を抽出し,市民社会の明確な「権利・義務関係」とは異なるオウエンの見解を浮き彫りにした。次に,オウエンが「人類生存の合理的状態」(the rational state of human existence)を実現するために重視した「結束と相互協力」と,21世紀に入り,公的な政策の議論で広く用いられている「コミュニティ結合」(community cohesion)との関連性を明らかにした。

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© 2017 社会政策学会
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