抄録
プロジェクトマネジメントにおいて, プロジェクトの目標とするところの品質を達成することは, プロジェクトの成否を決定付ける重要な要因である. 一般にプロジェクトは有期的な活動であるといわれ, その目標品質もプロジェクトライフサイクルの中で達成されることが期待されている. 一方で, プロジェクトの創生母体である企業等には無期的, 拡大的な存続が期待されている. 一般に品質といわれている狭義の品質は, 時間概念の導入が無い等の面からシステマティックさに欠けるといわれてきた. これは, ISO1OO06などのプロジェクト品質においても同様である. したがって, 従来概念に基づく品質管理によっては, プロジェクトの品質を達成することはできても, その創生母体たる企業等の持続的発展を期することはできない. 本報告では, 従来の品質管理の概念を補完するとともに, 企業責任の立場から定義される社会品質を紹介し, そのプロジェクトマネジメントにおける役割を考察する.