抄録
IT事業における事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)については,ITシステムへのセキュリティ脅威ばかりでなく,大規模地震への対応や,昨年来強毒性の新型インフルエンザへの対応など,その適用範囲が広がってきている.セキュリティの脅威に対しては,ISMSの整備などにより各プロジェクトにおいて一通りの対応が行われているが,大規模地震や新型インフルエンザに対してのBCP整備は実施途中にある.本稿では,「災害発生の際に,重要業務が停止しないこと,早期に復旧すること」を目指して,事業継続性の要求が高いシステム開発や維持・運用を行っているプロジェクト等を対象に実施してきたBCP策定の取り組みについて紹介する.具体的には,階層化された組織間の仕組み・役割分担,首都直下地震などの大規模地震・新型インフルエンザなどの感染症流行の2つをリスク評価し実施してきた整備状況,実施結果と今後の課題等について示す.