抄録
ITシステムが単に情報処理の枠を超え社会システムの隅々まで浸透している今日において,ITシステム開発のプロジェクトマネジャー(PM)には単にプロジェクトマネジメントのスキルだけでなく,困難な状況においてもプロジェクトを成功に導く能力とパフォーマンスが要求される.一方,優秀なPMにはプロジェクトを成功に導く共通な行動特性であるPMコンピテンシーがあるといわれている.本稿は,PMコンピテンシーを高める方法の一つとして良い段取りの実践について考察する.良い段取りはリスクマネージメントの観点から抽出した実践向けのノウハウであり,その考え方および,その実践はPMの育成,躾として有効である事を示す.そして良い段取りのプロジェクト運営を繰り返し実践する事でPM自身に良い段取りが染みつき,結果としてPMコンピテンシーの向上につながる事を述べる.