抄録
従来の熱分解反応に関する研究で用いられてきた熱重量測定や示差熱分析等では、時間と共に生じる化学反応の変化を評価することが困難であった。そこで本研究では、木質ペレット内部の熱分解反応機構の解明を目的とし、熱分解中の木質ペレットに対し質量およびX線透過光強度の同時計測を行い、平均質量吸収係数の導出を行った。また、木質ペレットの熱分解ガスを推定するためにガスクロマトグラフィーによる元素分析を行った。平均質量吸収係数は、650 K 付近でピークをもつことが確認された。本研究の手法を用いることで、木質ペレット内部で生じる熱分解反応を定性的に評価することを可能にした。今後、組成が既知の試料に対して同様の手法を用いることで、反応を定量的に評価することが可能であると考えられる。