抄録
小胞体分子シャペロン ER-60 はアルツハイマー病の原因と考えられているアミロイド β ペプチド(Aβ)の線維化を阻害する。線維化の阻害は、ER-60 の bb’ 領域が Aβ のアミノ末端から28残基目までの領域と結合することによる。また、結晶構造解析により、bb’ の境界領域に Aβ1-28 が一定の決まった配位ではなくフレキシブルな結合様式で結合することが明らかとなった。本研究では、Aβ1-28 が結合する bb’ の境界領域表面に存在するアミノ酸残基のうちチロシン182をアラニンに置換した変異体と Aβ1-28 複合体の構造解析を行った。