抄録
高分子と金属の界面の化学構造は、金属層を高分子基板上に形成した界面については報告例が数多く存在するが、高分子層を金属基板上に形成した界面については、分析用試料の作製が困難であることなどのために報告例が限られている。今回、Polyimide-on-Cr(PI-on-Cr)界面の化学構造を調査した。具体的には半導体プロセスを転用して作製した PI-on-Cr 界面を、硬X線光電子分光法(HAXPES)、軟X線光電子分光法(XPS)、電子エネルギー損失分光法(EELS)などにより多面的に解析した。PI-on-Cr 界面と、過去にも報告した PI-on-Cu 界面を比較することで、Cr 原子と PI 中の窒素の方が、Cu 原子と PI 中の窒素と比べて相互作用が大きいことがわかった。解析手法は、広範な産業応用において極めて重要な高分子―金属の界面の理解に有効である。