抄録
フレキシブルプリント基板の基本構成である銅(Cu)とポリイミド(PI)の密着性確保に重要な中間接着層の候補材料としてバナジウム(V)を選び、真空蒸着法により PI 上に V 層を形成した試料について、放射光硬X線光電子分光法と走査型透過電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法により V/PI 界面の状態を調査した。高温で作製された V/PI 界面には炭化バナジウムの存在が確認され、これが効果的に酸化を妨げたと考えられる。界面酸化は密着性を低下させる因子になり得ることが知られており、プロセス温度の最適化により密着性を向上できる可能性を示した。