抄録
SPring-8の放射光による特徴的な分析手法を検討し、犯罪捜査に役立つ新たな化学情報を引き出すのが本研究の目的である。
本研究は、日本で乱用問題の深刻な不正薬物である覚醒剤及び原料物質エフェドリン類に関して、SPring-8の放射光による特徴的な化学情報獲得を目指した。正規に市販され製法既知の覚醒剤原料エフェドリンを対象とし、BL02B2で結晶構造の製法による差異が測定可能か否かについて実験した。しかし、Rietveld法による結晶構造解析の結果、原料・製造法の異なるエフェドリン類の結晶構造に明瞭な差異は認められなかった。