抄録
固体高分子形燃料電池の正極触媒として高い性能を有するコアシェル型の白金合金ナノ粒子触媒に対し、共鳴非弾性X線散乱を用いて電位サイクルを繰り返した電池セルのその場測定を行い、Pt の電子状態密度分布を取得した。1.2 V までの電位走査を伴う初期化処理によって、Pt-O 結合エネルギーは 2.3 eV から 2.9 eV まで増加した。次に 1.0 V 印加の加速劣化試験を行った後の状態では、Pt は酸化されたものの、Pt-O 結合エネルギーに大きな変化は見られず、初期化操作の結果として得られた触媒構造では、Pt は溶出することが無く安定であることがわかった。