抄録
ヒトにおいて mRNA の核外輸送に働く mRNA 輸送因子 UAP56 と相同性の高いパラログ URH49 は、Apo-TREX および Apo-AREX 複合体の形成と、ATP 結合による ATP-TREX 複合体の形成を介して選択的 mRNA 輸送に働く。両者の複合体形成基盤の解明を目的として、UAP56、URH49 ならびに複合体形成制御領域を置換した変異体について ATP 非存在 / 存在下の SAXS 解析を行った。結果、ATP 非存在化において UAP56 と URH49 の溶液中構造に差異が存在し、ATP 存在化では両者の構造が相同になるというユニークな複合体形成の制御機構の可能性が示唆された。