理学療法の科学と研究
Online ISSN : 2758-3864
Print ISSN : 1884-9032
症例報告
回復期重度片麻痺一例に対する手指装具療法を併用したmodified constraint-induced movement therapyの長期効果
小針 友義村山 尊司中井 麻梨子
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 8 巻 1 号 p. 8_25-8_29

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抄録

 【目的】脳卒中後の上肢麻痺に対する機能訓練としてCI療法の効果は実証されており,行うように勧められている。しかしながら,CI療法の対象は軽度の麻痺例に限られている。本研究の目的は重度上肢麻痺者に対するCI療法の効果を検証することである。【症例】50代男性,橋梗塞,左片麻痺。CI療法は発症から第146病日に開始した。【方法】ABAデザインを用いた。B期を介入期として1日5時間のCI療法を平日5日間,2週間実施した。実施中は3種類の手指装具を併用した。評価はFugl-Meyer Assessment(FMA),Wolf-Motor Function Test(WMFT),Motor Activity Log(MAL)を用いて,各期の前後,CI療法終了から6か月の5回測定した。【結果】CI療法実施前後でFMA,WMFT,MALの改善が認められ,終了後も効果が持続された。【考察】CI療法の適応外であっても,手指装具を使用するなど機能を代償することでCI療法が可能になり,上肢機能や日常生活での使用頻度の改善が認められ,長期的に効果が持続する可能性が示唆された。

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© © 2017 一般社団法人 千葉県理学療法士会
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