2017 年 8 巻 1 号 p. 8_25-8_29
【目的】脳卒中後の上肢麻痺に対する機能訓練としてCI療法の効果は実証されており,行うように勧められている。しかしながら,CI療法の対象は軽度の麻痺例に限られている。本研究の目的は重度上肢麻痺者に対するCI療法の効果を検証することである。【症例】50代男性,橋梗塞,左片麻痺。CI療法は発症から第146病日に開始した。【方法】ABAデザインを用いた。B期を介入期として1日5時間のCI療法を平日5日間,2週間実施した。実施中は3種類の手指装具を併用した。評価はFugl-Meyer Assessment(FMA),Wolf-Motor Function Test(WMFT),Motor Activity Log(MAL)を用いて,各期の前後,CI療法終了から6か月の5回測定した。【結果】CI療法実施前後でFMA,WMFT,MALの改善が認められ,終了後も効果が持続された。【考察】CI療法の適応外であっても,手指装具を使用するなど機能を代償することでCI療法が可能になり,上肢機能や日常生活での使用頻度の改善が認められ,長期的に効果が持続する可能性が示唆された。