国内におけるインターネット環境の整備に伴い, 現在ではどこでもインターネットを利用できる環境が整いつつある。一方で, 農村地域では高齢者を中心に利用率がいまだ低い現状にあり, こうした状況が都市と農村の社会的・経済的格差をさらに拡大させることが懸念されている。
インターネットの利用を阻む要因については, すでにある程度知見の蓄積があるが, 要因ごとにそれらを解消ないし低減させる方策や, 利用を促進させる具体的な方法について検証したものは少ない。
そこで本論文では, 未利用者のインターネットへの利用意向を高めるための要因に応じた方策を示すことを目的とした。目的の達成に向け3つの農村集落において進められてきたインターネットの利用促進活動を事例に, 未利用者のインターネット利用に対する関心等に注目し行動科学的な観点から分析をおこなった。
その結果, 利用意向を示す未利用者に対しては, 無料で教わる機会や身近で相談できる環境を提供することにより利用のきっかけを生み出すことができれば, 利用を促すことができる可能性があることが分かった。
一方, 利用意向を示さない未利用者に対しては, 利用におけるコストの軽減や学習機会の提供といった支援よりも, 先にインターネットを使うことのメリットを伝えることが重要であることが明らかになった。さらに, インターネットを使ってみる中で, 実践を通じて利用のメリットを感じることが期待感を向上させる可能性を示すことができた。