本研究では,災害が繰り返される社会において,災後・災間にコミュニティ放送がどのように災害の記憶の継承を意識し,実践しているかについて明らかにする。災害発生から復興までの一連の捉え方に,災後・災間の視点を新たに加えることで,コミュニティ放送の役割を災害文化継承の観点から再考することを試みた。1995年からの23年間に発生した7つの大規模災害被災地を対象に,24のコミュニティ放送局にインタビュー調査を実施した。結果,コミュニティ放送局は災害発生時から災害の記憶の継承について意識的であり,放送活動を通した継承が行われていることが明らかになった。一方,時間経過に伴い,災害の記憶の捉え方は変容しており,番組や活動の中で記憶の構築・再構築を交えながら,その時々のコミュニティに向けた伝え方をしていることが考察された。コミュニティ放送局の実践は,(1)語り継ぎ,(2)次世代への伝え方,(3)災害の記憶のアップデートという三点において特徴的であり,これらの実践は,災害経験が社会的な行動や規範となる,いわゆる災害文化の継承につながっていることも知見として得られた。本研究では,先行研究で復興後を平常と捉え,コミュニティ放送も平常放送に戻るという一般的な認識に対し,災後・災間という視点により,災害の集合的記憶に関する内容が変容しながらも,継続的に放送されていることを可視化し,コミュニティ放送を災後放送と位置付ける意義を示唆した。